2026.9.4

「AIを活用しないと、これからの時代に取り残されるかもしれない。でも、具体的に何から手をつければいいのか分からない」——多くの企業担当者が今、こうした感覚を抱えています。
結論から言えば、多くの企業がまず取り組むべきは「AIツールの選定」ではなく「AIに何を任せるかを判断できる状態をつくること」です。その理由を、最新の企業データから見ていきます。
生成AIを利活用する日本企業の割合は、2023年度の54.8%から2024年度には63.1%へと、1年で8.3ポイント増加しました(出典:IPA「DX動向2025」P.44 図表2-3-1)。すでに国内企業の6割超が、何らかの形で生成AIを業務に取り入れています。
・2023年度:54.8%
・2024年度:63.1%(+8.3pt)
この数字が示すのは、「生成AIを使うかどうか」の議論はすでに終わりつつあり、企業間の関心は「どう使いこなすか」に移っているという事実です。
生成AIが支援できる業務範囲は急速に広がっています。具体的には次のような領域です。
・文書作成・要約
・情報収集・調査
・データ分析・可視化
・問い合わせ対応
・資料作成・プレゼン
・翻訳・要約・校正
・議事録作成・要約
・アイデア出し・企画支援
定型業務の効率化にとどまらず、知的業務の質とスピードを高める形で、仕事の進め方そのものが変わり始めています。
AIエージェントとは、指示に対して回答するだけでなく、情報収集・分析・実行・改善までの複数タスクを自律的に計画し実行するAIのことです。
従来の生成AIは、「調べて、まとめて」といった指示に回答や提案を返す存在でした。一方でAIエージェントは、情報収集→分析・判断→実行・処理→報告・改善というサイクルを自ら回していきます。「答えるAI」から「やってくれるAI」へ——この違いが、次のAI活用の焦点になっています。
AIを導入した企業のうち、91.6%が「業務が効率化・迅速化した」と回答しています。一方で、「期待以上」または「期待どおり」の効果が得られたと答えた企業は31.8%、「売上や利益が向上した」と答えた企業はわずか3.9%にとどまります(出典:IPA「DX動向2026」P.31 図表2-2-20)。
| 指標 | 割合 |
|---|---|
| 業務が効率化・迅速化した | 91.6% |
| 期待以上・期待どおりの効果(合計) | 31.8% |
| 売上や利益が向上した | 3.9% |
この差が示すのは、「AIを使っていること」と「AIで成果を出せていること」は別問題だという点です。多くの企業でAIは活用されているものの、それが会社としての価値創出にまでは、まだ十分につながっていません。
なぜ、これだけ多くの企業でAI活用が「効率化止まり」になってしまうのでしょうか。
その答えを掘り下げる前に、一つ問いを立ててみたいと思います。
AIに何をさせるかを考える前に、自社の業務がどうなっているかを把握できているでしょうか。
AIをどれだけ高性能なツールとして導入しても、任せる業務そのものが整理されていなければ、力を発揮しきれない——そう考える企業が増えています。
では、具体的に何が起きているのか。そして、AIを本当に活かすために、業務のどこに目を向ければいいのか。
次回は、多くの企業が見過ごしがちな「業務の課題」について、もう少し掘り下げていきます。
Q. AI活用は何から始めればいいですか?
A. まずは自社の業務を整理し、AIに何を任せられる状態かを把握することが出発点になります。ツールやサービスの選定はその後の話です。
Q. 生成AIとAIエージェントの違いは何ですか?
A. 生成AIは指示に回答・提案する存在、AIエージェントは複数タスクを自律的に計画・実行する存在という違いがあります。
Q. なぜAIを導入しても成果が出にくいのですか?
A. 業務効率化の実感はあっても、売上・利益向上まで結びつく企業は約3.9%にとどまります(IPA「DX動向2026」)。背景には、AI活用の前提となる業務整理が十分でないケースが多いと考えられます。
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