「顧客とのリレーションを強化」し、商談創出型のインサイドセールスを実現

電話やメールなどのツールを利用して、非対面営業で顧客とのリレーションを強化しながら商談機会を創出するインサイドセールス。日本では、リードの発掘・獲得から育成、アポの獲得までをインサイドセールス部隊が担う仕組みが一般的です。ターゲットを選定してリードを発掘するマーケティング部門と対面での提案から商談成立に向けてクロージングするフィールド部門をつなぐ役割を担います。インサイドセールスが機能していれば、効率的に商談の創出チャンスを得ることができます。この記事では、商談創出型のインサイドセールスを実現するコツをご紹介します。
コミュニケーション重視のアプローチでリード育成
商談機会を逃さずに顧客へアプローチするためには、継続的なコミュニケーションで信頼関係を育む努力が必要です。インサイドセールス部門が得た情報を蓄積していくことで、顧客データが充実していきます。次のアプローチで活用できる情報をもとに予算やタイミングなどを見極め、商談機会を創出します。
テレアポとは違う!インサイドセールスだからこそできるリードアプローチ
インサイドセールスといっても、「テレアポとなにが違うの?」と思っている方が多いかもしれません。テレアポは、対象リストをもとに、とにかく電話をかけ続け「何件のアポがとれたか」が重要視されるアプローチ手法です。一方、インサイドセールスはリードとの関係を長期的に育成することが目的になります。
<「テレアポ」と「インサイドセールス」の違い>
1.目的
テレアポ:
アポを獲得し、フィールド営業の訪問を取り付ける。
インサイドセールス:
アポや商談につながらない顧客であっても、商品を紹介しながら現在抱えている課題や興味を示しているサービスなどを聞き出して商談機会を創出する。
2.顧客との関わり方
テレアポ:
電話でアポイントを獲得するだけの、単発かつ短期的な関わり方。
インサイドセールス:
顧客とのコ ミュニケーションを通じて、セールスチャンスを作る長期的な関わり方。
3.アプローチの方法
テレアポ:
電話によるアプローチ
インサイドセールス:
電話やメール、最近はスカイプなどのテレビ電話やWeb会議などを活用したアプローチ。非対面営業でも密なコミュニケーションがとるために最新技術を採用している。
リードとのコミュニケーション強化で商談機会をつかむ
非対面のアプローチといっても、「御用聞き」として足を運んでいた訪問営業と業務の目的は変わりません。見込み顧客との日常会話や時世の流れからニーズをひろい、商談機会をつかみます。
<インサイドセールスのアプローチが有効なシーン例>
・決裁が通りやすい安価で説明が簡単な商材の案内
・失注した顧客への再アプローチ
・会社HPの問合せフォームから質問が入ったときの対応
・展示会などで名刺交換をした顧客へのアプローチ
商談機会を逃さない情報共有とナレッジの蓄積
インサイドセールスのアプローチは、タイミングや方法を間違えるとうっとうしく思われてしまい、拒絶されてしまうことにもなりかねません。長期的に良好な関係を築くためには、1回のアプローチで結果を求めず、短い時間で得た情報を蓄積していって、誰が対応しても同じ話ができるような情報共有力が必要になります。
コミュニケーション不足による情報共有ミスがチャンスを逃す
担当営業マンがはりついてリードの獲得からクロージングまで完結させる、かつての営業スタイルとは異なり、インサイドセールスを導入すると1つの顧客へのアプローチが分業されることになります。そのため、マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールスとの間で、リアルタイムでの密な情報共有が大切になってきます。
<一般的な営業プロセス>
リード獲得→②リード育成→③アポ獲得→④企画立案→⑤訪問→⑥提案→⑦受注
フレキシブルな対応が求められるフローですが、下記のように分業することが一般的です。
リード獲得~②リード育成 →マーケティング、
リード育成~③アポ獲得~④企画立案 →インサイドセールス
企画立案~⑤訪問~⑥提案~⑦受注→フィールドセールス
それぞれの役割が被るフェイズが、情報共有を密にしなければならない部分です。情報が途切れてしまったり、蓄積されていなかったりすると、次へのバトンが上手く渡らず顧客情報を一括管理することができなくなります。同じ質問を違う担当者から何回もしてしまい、信頼を失くすといった事態にもなりかねません。それぞれの部署間でしっかりとコミュニケーションをとり、チームで1つの顧客を担当している意識を持つことが大切になります。
情報管理システムを活用してナレッジを蓄積
顧客へのアプローチ履歴や営業過程での会話など、些細な情報でも蓄積していくことで非常に有効な顧客情報へと育てていくことが可能になります。とはいえ、数多くのリードに対して、一律の水準をキープしながら情報を蓄積していくことは容易ではありません。顧客管理システムや営業支援システムなどと連動したインサイドセールスの仕組みが必要になってきます。
顧客の数が少なければ、エクセルやアクセスを使った簡易的なデータベースでも対応できるかもしれません。しかしながら、数多くの顧客を抱えていて、部署をまたいで情報管理をしたいといった要件があるならば、CRMやSFAを活用し、行動シミュレーションに即して情報を蓄積できるシステムを導入するほうが効果的です。
CRM・・・Customer Relationship Managementの略。顧客情報を管理するシステムの総称。
SFA・・・Sales Force Automationの略。営業活動をサポートするシステムの総称
アポ獲得型のインサイドセールスで商談機会を創出
非対面営業のインサイドセールスで商談創出機会につなげることは、簡単なことではありません。商談機会を逃さないためには、多くのリードを抱えていても顧客のキーマンとつながりながら、タイミングを逃さずにアポイントを獲得する仕組みが必要になります。
多くのリードを抱え、かつ営業チャンスを逃さない仕組み作りが重要
「数を打てば当たる」といったテレアポ営業とは異なり、インサイドセールスではリードが求めるベストタイミングを見極めて、アプローチができる仕組みが求められます。しかし、現実ではインサイドセールス部門も、大人数で構成できるわけではないため、1件ずつの顧客とじっくり向き合うわけにはいきません。数が多いリードを数名でハンドリングするための仕組みが必要不可欠になります。
インサイドセールスを仕組み化するためには、営業マン一人ひとりが管理している顧客情報を、一元管理してデータベース化することが有効です。
<顧客DBに紐づけして活用したいデータ>
・顧客の基本情報データ
・取引実績
・マーケティングデータ
・営業活動のナレッジデータ(アプローチ方法、会話内容など)
顧客の優先順位付けを行うために、アクションを起こすきっかけとなるフラグを付加するなど、データベース項目を工夫し、商談機会のタイミングを逃さないデータ設計を行います。
商談機会を創出し受注につながるアポイントメントを獲得
インサイドセールスから、受注につながる可能性が高いアポを獲得するためには、リードとの強いリレーションシップが大切になります。売り込む商材のターゲティングをしっかりと行って必要としている顧客を絞り込み、チャンスを逃さずに提案できると、商談成立を視野にいれたアポにつながります。見込みの高い新規顧客だけでなく、既存顧客や失注した顧客からもニーズを引き出し、商談機会を作ることがポイントです。
<インサイドセールス担当の役割>
インサイドセールス担当者は、非対面の営業活動で顧客からの信頼を得て、商談機会を作るアポイントまでつなげる高度なスキルが求められます。
【インサイドセールス担当に求めるスキル】
マーケティング力
営業力
フレキシブルな対応力
マネジメント能力
判断力
自社組織で新たにインサイドセールス部門を立ち上げるのが困難であれば、ノウハウを持つ外部業者に委託する方法も有効です。
まとめ
インサイドセールスで商談機会を創出し、受注につながるアポを獲得することは容易ではありません。単純なテレアポ営業とは異なり、顧客と強固なリレーションシップを築き、長期的な信頼関係を結ぶことがインサイドセールスに求められます。マーケティング部門とフィールドセールス部門との綿密な情報共有と連携をシステム化し、チーム営業の意識を高めることが大切です。