インサイドセールス

インサイドセールスとは?営業力をアップし、成功に導くコツ

インサイドセールスとは、電話やメール、WEB会議システムやテレビ電話などのツールを利用して、非対面で行う営業活動のことです。担当営業マンが顧客へ出向き「足で稼ぐ」かつての訪問営業とは異なり、営業工程を分業化することで効果的かつ効率的なアプローチを可能にします。インサイドセールスは、マーケティング部門とフィールドセールス部門の中間的な役割を担い、リード(見込み顧客)とコミュニケーションを通じて信頼関係を築きながら、商談へ導く道筋を作ります。この記事では、インサイドセールスで営業力をアップし、成功に導くコツについてご紹介します。

 

インサイドセールスを活用して効率的にリードを獲得するポイント

従来の営業活動は、担当営業マンが「御用聞き」として、足を使って顧客訪問を行うアプローチが一般的でした。しかしながら、この方法は、フォローできる顧客数に限界があるうえ、移動の交通費や時間などコストもかかるので、効率的な営業手法とはいえない部分もあったのです。ここでインサイドセールスを活用すると、多くの顧客へのアプローチが可能になり、効率的なリードの獲得につながります。

 

リードとのリレーションを強化するインサイドセールスの役割

電話やメールなどを使って非対面で行うインサイドセールスは、まだ関係の浅い顧客に対して、タイミングよくアプローチを続けてリードに育て、良好な関係を築くことからスタートします。テレアポのような単発的なアプローチではなく、リードと長期的に良好な関係を築き、商談の機会を作ることが役割になります。

 

<インサイドセールスとリードの関係を強化するポイント>

【ポイント1】「売り込み」ではなく、「情報の収集と提供」

インサイドセールスからリードへのアプローチは、「売り込み」が目的ではありません。会話をしながら、抱えている案件やプロジェクトの進捗状況などの情報を聞き出し、こちらから有意義な情報が提供できることを伝えて信頼関係を築いていきます。時間がかかる長期的なアプローチですが、コミュニケーションを通じて関係を強化することで商談機会を狙います。

 

【ポイント2】「単発」ではなく、「長期的」なアプローチ

従来の内勤営業サポートは、顧客リストをもとに電話をかけてアポイントを取り付けることがメイン業務でした。しかしながら、このような単発的なアプローチは、顧客の都合を考えたものではなく、嫌がられることもよくありました。当然、アポイントにつながることも少なく、アポイントが取り付けられたとしても「たまたま話を聞いてもらえた」といった偶発的な関係性でした。インサイドセールスからのアプローチは、非対面というだけで、フィールドセールスと役割や目的は変わりません。1本の電話で結果を求めるのではなく、将来的にWin-Winな関係を築くために、じっくりと顧客と向き合う長期的なアプローチを行います。

 

インサイドセールスで営業効率のアップを目指す

インサイドセールスを導入する目的は、「営業効率のアップ」にあります。フィールドセールスの担当者が「足を使い」「時間を使い」顧客を訪問する営業方法は、コストとマンパワーの両方の視点からみても生産性が低いといえるでしょう。

営業活動を分業化し、それぞれに特化した専任部隊を作ることで、多くの顧客へのアプローチが可能になり、営業効率をあげることが可能になります。

 

<営業活動の3つの役割>

マーケティング…商材に合わせてターゲットにあたる顧客を絞り込み、リード獲得を目指す

インサイドセールス…リードを育成しながら、優先順位の高い顧客へ非対面でアプローチし、商談機会を創出する

フィールドセールス…インサイドセールスから引き継いだ商談につながるリードに、受注に向けて具体的な企画・提案を行う。

 

インサイドセールスを導入するメリット・デメリット

インサイドセールスは、営業方針や組織人事との関わりが深く、簡単に導入できる仕組みではありません。インサイドセールスを導入するメリットとデメリットを正しく理解し、自社の組織にあてはめて機能が発揮できるか検証が必要です。

 

インサイドセールスを導入するメリット

1人のセールスマンが担当できる顧客数には限界があります。手がまわらなくなり、商談機会を逃してしまったリードも多いかもしれません。インサイドセールスを導入すると、営業工程を分業化できるので、効率的に顧客アプローチができる仕組みが実現します。

マーケティング担当、インサイドセールス担当、フィールドセールス担当、カスタマーフォロー担当などチームで1件の顧客を担当することになり、より営業効果が高まります。

 

<インサイドセールス4つのメリット>

その1)顧客の情報管理を一元化

インサイドセールスでは、誰が担当についても同じレベルで対応できることが求められます。顧客の企業基本情報や取引実績、「いつ」「誰が」「なに」について会話をしたのかがわかるアプローチ履歴を管理し、リアルタイムで共有できる仕組みを取り入れ、顧客情報を一元管理します。

 

その2)少人数で多くの顧客へアプローチ

インサイドセールスの仕組みは、訪問営業のシステムとは異なり「1顧客対1担当者」ではありません。インサイドセールスの担当者は、誰がどの顧客を対応しても一定以上のスキルでセールスができるようトレーニングします。その結果、少ない人数で多くのリードへのアプローチが可能になり、今まで対応できなかったリードの獲得が可能になります。

 

その3)フィールドセールス担当の時間短縮

フィールドセールスの担当者は、リードの要望に合わせて企画書を作成し、提案の準備をしっかりと行ったうえで、商談に向けてプレゼンテーションに臨むことが本来の業務です。しかしながら現実は、リードを育成するまでの雑務が多く、商談になる手前で時間を取られてしまうことがほとんどです。インサイドセールスが機能すると、今まで時間がかかっていたリードの育成から解放されるため、本来の仕事に向き合う時間を確保することが可能になります。

 

その4)コスト削減

従来の訪問営業は、商談の有無に関わらず定期的に顧客の元へ訪問し、顔つなぎをしながら情報収集し、売り込む機会を探っていました。この方法は、先方に印象を残すことができて有効なこともありますが、時間が合わずに担当者と会えなかったり、移動時間や交通費がかかったりと、効率的とはいえませんでした。また、1人が1日で面会できる件数は限界があり、多くの担当顧客を抱えることは不可能です。非対面による内勤営業のインサイドセールスは、コスト削減と人的資源を生み出すことができ、顧客アプローチの幅が広げられます。

 

インサイドセールスを導入するデメリット

1件の顧客に関わる部署が多くなると、それぞれの部署間でコミュニケーション不足が起こりやすくなり、業務の引き渡しが上手くいかなくなることがあります。これは、インサイドセールスを導入したが結果につながらない場合の、代表的なデメリットといえるでしょう。また、責任の所在が曖昧になり、個々のスキルが低下していくと、活用できる顧客情報が薄くなっていき、戦略的な営業活動に支障が出ることも考えられます。こういった事態に陥るのを回避するには、部署ごとの役割を明確にしながらも、フレキシブルな対応で同じ目標に向かう意識を持つことが重要です。インサイドセールス導入のデメリットについて、詳しくみていきましょう。

 

その1)他部署間での情報共有ミスが起こりがち

インサイドセールスを導入するということは、営業プロセスを分業化することになるため、1件の顧客に対し、複数の部署や担当者からコンタクトが発生します。一般的には、顧客からターゲットを絞り込むマーケティング部門、リードを育成しながら商談機会を創出するインサイドセールス部門、具体的な提案をプレゼンテーションし、商談を成立させるフィールドセールス部門の3つの部署が関わります。1件の顧客に対して、それぞれの部署がアプローチし、同じ話や質問をたびたび持ちかけられたり、何度も電話がかかってきたりといった事態が起きてしまうと、先方を煩わせてしまい信頼を失って商談機会を逃すことも起こり得ます。

 

<営業プロセスの業務フロー>

フレキシブルな対応が求められますが、下記のように分業するのが一般的なフローです。

  1. 顧客のターゲティング
  2. リード獲得
  3. リード育成
  4. アポイント獲得
  5. 企画立案
  6. 訪問
  7. プレゼンテーション
  8. 商談成立

 

フローを担当部署で分けると、下記のようになります。他部署間でフローが被る部分が、特に情報共有が必要とされるポイントです。

 

‘①~③ →マーケティング、

‘②~⑤→インサイドセールス

‘⑤~⑧→フィールドセールス

 

その2)少数精鋭でまわすための人材育成 

インサイドセールスの担当者には、様々な素養が求められます。また、大人数を確保せず、少数精鋭部隊として組織化することが一般的です。そのため、誰でも全ての顧客に対応できるようハイレベルなスキルが必要になります。人材育成のためのカリキュラムを充実させ、個人任せにしない組織形態の作り込みが必要不可欠です。

 

<インサイドセールス担当に求める能力>

・マーケティング力

・データマイニング力

・トークスキル

・情報管理能力

・フレキシブルな対応力

・マネジメント能力

・判断力

 

その3)多くのリードを管理するためのシステム導入コストが必要

リードの数が増えてきたら、エクセルなどの台帳で管理をすることは難しくなります。顧客情報や営業履歴をデータベース化するための、システム開発や導入、保守に関するコストが発生します。システム関連費用は、導入時のイニシャルコストと運用時のランニングコストが発生します。費用対効果を見極め、営業効果に見合うシステム導入規模になるよう精査が必要です。

 

インサイドセールスとフィールドセールスは、役割をしっかり把握し合うことが大切

 

1件のリードを共に担当するインサイドセールスとフィールドセールス。それぞれの役割や業務の目的を相互に理解する姿勢がなければ、すれ違いになり結果的に商談機会を逃すことにつながります。スタンスの異なる営業手法を理解し、お互いの業務領域を尊重して歩み寄る努力が大切です。

 

インサイドセールスの目的と役割

インサイドセールスの目的は、ターゲットを絞り込み優先順位の高い顧客に対して、メールや電話、WEB会議などを通じてアプローチを行い、商談機会につながるアポイントに持ち込むことにあります。

 

<インサイドセールスが担当する業務>

営業用顧客リストの抽出

リードの育成(情報収集と情報提供)

低価格で決済しやすい商材のセールス

企画提案が必要な複雑な商材の案内

商談機会につなげるアポイントの獲得

フィールドセールスへの引継ぎ

 

フィールドセールスの目的と役割

インサイドセールスが取り付けたアポイントを引き継いで、受注に向けて具体的な企画・提案を持ち込み、クロージングさせるのがフィールドセールスの役割です。インサイドセールスが築いたリードとのリレーションをベースに、商談成立に向けてプレゼンテーション準備などの仕事に特化します。

 

<フィールドセールスが担当する業務>

インサイドセールスからリード状況を引き継ぎ

アポイント前の詳細ヒアリング

企画書・提案書、見積書の作成

プレゼンテーション

受注に向けての商談

 

多くのリードをフォローアップするためには、インサイドセールスをサポートするシステムが重要

 

多くの顧客を管理しながら、タイミングを逃さずにリードへアプローチしていくときに、手台帳で情報管理を行うのには限界があります。規模が大きくなると、複数の部署が効率的に、そしてリアルタイムで閲覧できるシステム導入が必要になります。

 

インサイドセールスに必要な情報を蓄積する顧客情報システム

インサイドセールスを機能させるためには、顧客情報を管理するシステムが必要不可欠です。企業の基本情報や担当者、過去の取引実績といった顧客情報と、営業活動の履歴や担当者との会話、興味を持っている商材などの営業支援情報を包括的にカバーするシステムが求められます。顧客の数が少なければ、エクセルやアクセスを使った簡易的なデータベースでも対応できるかもしれませんが、部署をまたいで情報共有したい場合は、CRMやSFAなどのパッケージソフトを活用するのも有効です。顧客の優先順位づけを行うために、アクションを起こすきっかけとなるフラグを付加するなど、データベース項目を工夫した機能設計を行い、営業活動の行動シミュレーションに即して情報を蓄積できるシステムを導入すると、高い効果が見込めます。

 

<顧客データベースに紐づけして活用したいデータ> 

・顧客の基本企業情報(顧客名、代表者名、資本金、所在地、担当者 など)

・顧客の信用調査情報

・取引実績(取引日、取引額、入金・支払実績)

・マーケティングデータ

・営業活動のナレッジデータ(アプローチ方法、会話内容など)

 

注)

CRM・・・Customer Relationship Managementの略。顧客情報を管理するシステムの総称。

SFA・・・Sales Force Automationの略。営業活動をサポートするシステムの総称

 

部署をまたいでも、リアルタイムの情報共有を可能に

1件の顧客に対して、マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス/アフターフォローなど、複数の部署が接点を持ちます。「どの部署の誰が、先方と何の話をしたのか」アプローチのタイミングや会話などをシステム上に残しておくことで、リードの動きをリアルタイムで共有することが可能になり、効果につながる次の一手を打ち出します。

 

まとめ

インサイドセールスは、効率的に顧客へアプローチすることで多くのリードを獲得し、商談機会を創出する役割を担います。インサイドセールスの仕組みを成功させるためには、従来の訪問型営業の仕事を分業化し、インサイドセールスとフィールドセールスの役割を切り分けながらも、互いに連携するチームワークと情報共有のためのシステム化が必要不可欠です。

 

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